パリ<よごれちまった悲しみに>前編
4月28日
- 移動日
ポルト空港からパッと飛んでパリのオルリー空港に到着。
目に入る文字、飛び交う言葉がフランス語に変わっていることから国が変わったことを実感する。
行き交う人たちはモデルのようにスタイル抜群だった。
パリジェンヌばっかりや!
しかしこれはすぐにパリのA面であることがすぐにわかった。
空港から市街にRER(高速地下鉄)を利用するために電車に乗車した瞬間、パリのB面を目の当たりにした。
乗客の大半が悪そうな黒人ばっかりだった。
WARNING! WARNING! WARNING!
(あかん!あかん!あかん!)
僕のようなアジア人はめちゃくちゃ目立つので全員の視線が集中する。
スリに狙われないように荷物を手元に置いて警戒する。
なんとか無事に駅に到着。
噂には聞いていたが駅には悪臭が漂っていた。
パリの地下鉄にはトイレがないので適当なところで立ちションをするらしい。
ここはある意味ローマの地下鉄よりヤバいかもしれない。
移民の恐ろしさを肌(鼻)で実感した。
この日は宿に到着すると明日の予定を確認し、早めに眠りについた。
4月29日
本日の予定
- ルーブル美術館
- オルセー美術館
- オランジェリー美術館
- ロダン美術館
- ノートルダム寺院
おはようございます!
朝から頑張ります!
まずはルーブル美術館からぶっ込む。
ルーブル美術館には4つ入り口があり、僕はパレ・ロワイヤル/ミュゼ・デュ・ルーヴル駅からショッピングモールを通って行くルートを選んだ。
屋内だと万一雨が降ってきた時に濡れなくて済むからだ。
実際に到着すると思っていたよりも空いていた。
「ダヴィンチコード」で有名なI.M.ペイが設計した逆ピラミッドだ。
ルーブル美術館の入り口はこのすぐ近くにある。
このあたりはカルーゼル・ドゥ・ルーブルと呼ばれるショッピングモールになっていて高級店が軒を連ねていた。
入り口の列に並びながら「モナリザ」と「ニケ」と「ミロのヴィーナス」のルートを先に頭に叩き込んでおく。
とにかくこの3つはめちゃくちゃ混むので最初に押さえておくと他の作品をゆっくり鑑賞することができる。
入場します!
開館してまだ間がないので空いてる。
今のうちに主要な作品を観て回る。
ポケモンをゲットするサトシばりの素早さで有名作品を次々に写真におさめていく。
まるで気分はポケモンGOだ。
目当ての作品を一通り見るとあとはゆっくりと美術館を楽しむ。
美術館自体がすでに美術作品だ。
ジャパネットたかたで買ったら何回払いになるねん…。
ゴツい盾やなあ…。
上の顔トランプ大統領そっくりやな。
絵画の模写をしている人。
海外の美術館でよく見る光景だ。
子供が車座になって芸術教育を受けている光景もよく見かける。
海外の美術館は作品との距離が近く、芸術が開かれたものとして生活の中に浸透しているように思う。
それに対して日本の美術館は作品がガラスの中に閉じ込められ、さらに静けさを求められて感想を自由に話し合うことすらはばかれる雰囲気に息苦しさを感じる。
和辻哲郎の「古寺巡礼」の中でも同じようなことが指摘されていたように思う。
日本の美術館はもうちょっと何とかならないのかなあ…。
3時間ほど鑑賞し、少し疲れてきたのでルーブル美術館をあとにする。
ルーブル美術館はすべての作品を鑑賞するには1週間以上かかると言われるだけあって1日では全然時間が足りない。
また今度ゆっくり来ます!
つづく…
ポルト<3D一休さん鉄橋を渡る>
4月24日〜26日
ポルトの予定
- クレリゴス教会
- ドン・ルイス一世橋
- サンフランシスコ教会
- レロ書店(レロ・イ・イルマオン)
Ola!
これからポルトに向かいます。
ボンバーマンのような電車に乗ってポルトに向かう。
出発します!
車窓からの眺め。
何かの映画で観たような風景だ。
駅に到着し、まずはクレリゴス教会に向かう。
教会にはクレリゴスの塔と呼ばれるポルトで一番高い76メートルの塔がある。
ここからポルトの街が360度一望できる。
教会に入る。
一番上の小窓におどけた格好の像があるのがおわかり頂けるだろうか。
実はその像の後ろは通路になっていてそこまで歩いていける。
プレーヤー視点
教会は無料だが塔に登るのは有料だった。
3ユーロ払って行列に並ぶ。
塔内は急勾配な階段が225段らせん状に伸びているため、安全に配慮して人数制限をしていた。
そのため行列は遅々として進まず、かなり長い時間待ってようやく順番が回ってきた。
駆け上がります!
魔女の宅急便や!
リスボンと同じく素焼き瓦のオレンジの屋根が南欧らしさを感じさせる。
吹き抜ける風が心地いい。
塔の周りをグルッと一周できるので、予習がてらポルトの街を一望する。
教会に隣接する公園が見える。
実はこの公園はただの公園ではない。
3D公園なのだ!
横から見るとこのような構造になっていて間の空間は駐車場、1階は飲食店などの店舗になっている。
近くにあるポルト大学の学生の憩いの場になっているようだ。
僕の母校である馬鹿田大学を思い出す。
次にドン・ルイス1世橋に向かう。
ポルトも坂が多い街だ。
こんなことならスケボーを持ってくるべきだった。
ピーナッツのような鉄筋だ。
これも3Dなのだろうか。
長い坂を下ってようやくリベイラ広場に到着した。
リベイラ広場は「川の広場」という意味。
この辺りはポルトの商業の拠点として栄えていた名残で、今でもレストランや手工芸品のお店などが軒を連ねている。
サングラスのおじさんがものすごいメンチを切っていたので目をそらすとそこにドン・ルイス一世橋があった。
ドン・ルイス一世橋は19世紀に架けられた395メートルの長い橋だ。
上層は地下鉄の電車、下層は自動車が走っている。
上層、下層ともに歩道が設置されているので、ブルックリン橋のように歩いて渡ることができる。
3D一休さんならば中層を歩くに違いない。
次はサンフランシスコ教会に向かう。
教会内は撮影禁止だったので写真を載せられないのが残念だ。
教会の中に入ると金ぴかで豪華絢爛だった。
これらは木の彫刻に金箔を貼ったもので、ヨーロッパの石の教会とは少し趣が異なる。
木のぬくもりと香りが日本のお寺のように感じられて懐かしく感じられた。
考えてみればヨーロッパ諸国で最初に日本を訪れたのはポルトガルだし、16世紀に天正遣欧使節が日本を出発して最初に訪れたのもポルトガルだ。
日本とポルトガルには古い繋がりがあることを改めて思い起こされた。
地下はカタコンベ(地下墓地)になっていた。
床下には無数の骨が見える。
これほどの人骨を見たのはローマの骸骨寺以来だ。
メメント・モリ(自分がいつか必ず死ぬことを忘れるな)。
いま動けるうちにできる限りのことをして後悔のないように生きようと思った。
次にレロ書店(レロ・イ・イルマオン)に向かう。
ここは「世界で最も美しい書店」として有名だが、実は「ハリー・ポッター」とも縁が深い。
ハリー・ポッターの作者であるJ・K・ローリングはポルトに英語教師として赴任していた時にレロ書店のカフェで執筆活動をしていた。
その時執筆していた作品が処女作である「ハリー・ポッターと賢者の石」だ。
そのため「ハリー・ポッター」の作品の中にはポルトの風景が随所に散りばめられている。
ハリー・ポッターや!
店内はそれほど大きくはないが、装飾などが凝っていて特に天井の装飾が美しかった。
ちなみにレロ書店に入るためには4ユーロのチケットを買わなければならない。
レロ書店が有名になり過ぎてあまりにも冷やかしが多くなったためらしい。
確かに蔦屋書店に外国人が大量に押しかけてパシャパシャ写真を撮られると迷惑な気持ちもわかる。
ただしここで本を買えばチケット代を割り引いてくれるので、観光客は何かしらお土産を買っていた。
正直ここに来るまではポルトはリスボンのおまけという認識だったが、意外や意外なかなかいい街だった。
物価が非常に安く、レストランも1000円あればワインとセットでお腹いっぱい美味しい料理が食べられるし、人もみんな親切だった。
「魔女の宅急便」や「ハリー・ポッター」などこの街からインスパイアされ、世界中の人たちを魅了する作品が生まれたのが納得できるほどの魅力あふれる街だった。
次は花の都パリに向かう。
Tchau(チャオ)!
リスボン<風雲サン・ジョルジェ城>
4月23日
本日の予定
- サン・ジョルジェ城
Ola!
今日はケーブルカーに乗って城を攻めます。
最初にケーブルカー利用にあたっての注意事項があります。
それは、
スリがめちゃくちゃ多いです。
子供のスリ団もけっこうタチが悪いので気をつけましょう。
リスボンのケーブルカーは昼間はラッシュアワー並みに激混みします。
絶対に貴重品を盗られないように注意してください。
それとよくある手口として、わざと空の財布を床に置き、それを拾った乗客に財布が空であることを確認させます。
するとそれを見ていた周囲の乗客は自分の財布が盗られてないか確認するために自分の財布に手を当てるでしょう。
それをスリは見ていてターゲットにするという手の込んだ手口です。
心は盗られても、財布は盗られないように気をつけましょう。
では、
出発します!
トコトコ…
実際にはこんな感じ。
狭い路地をガンガン攻めてます。
「頭文字D」のケーブルカー版みたいな感じかな。
ケーブルカーを降りて、城を目指して歩き出す。
降り場から城まで意外と距離があり、急な坂を登る。
ようやく城壁にたどり着いた。
お城の周りにはレストランとお土産屋さんが並んでいた。
もう風雲たけし城にしか見えない。
入場します!
アーチをくぐりながら奥に進む。
やっぱりオレンジの屋根は可愛いなあ。
ピンクの壁があるのも可愛い。
城内に入る。
開門!
あれは城主かな。
サン・ジョルジェ城は約1500年の歴史をもつ古城だ。
ローマ時代に要塞として建設され、その後王宮として利用されていた。
だんだんRPG感が増してきた。
高所恐怖症の僕は嬉しくて震えが止まらない。
この高さがおわかり頂けるだろうか。
人がゴマのように小さく見える。
でも景色は素晴らしく、360度リスボンの街が見渡せる。
4月25日橋が見える。
海に見えるがあれはスペインから流れているテージョ川だ。
サン・ジョルジェ城は古代ギリシャ人、古代ローマ帝国、西ゴート王国などさまざまな民族の支配者を城主として迎え入れてきた。
サン・ジョルジェ城は風に乗って雲が流れるように時代の器として1500年もの長い歴史を刻んできたのだ。
「風雲サン・ジョルジェ城」といわれるゆえんである。
挑戦者の行く手をはばむ大砲。
さて、野に下るか。
カラフルな壁に囲まれた迷路のような路地と洗濯物。
リスボンならではの穏やかな光景にほっこりする。
長い坂を下っていく。
要所要所にベンチが置いてある。
こういう優しさってほっこりするなあ。
リスボンの街並みはシンプルだけど色使いが上手だ。
このあたりの人は飾らないがとても親切であたたかい。
「美味しいかい?」と尋ねる食堂のおばさんの笑顔もあたたかかった。
胃袋に流し込んだスープと一緒に五臓六腑に染みわたってほっこりした。
風まかせ雲まかせの風雲旅行。
次は北に進みポルトガル第二の都市ポルトに向かう。
リスボン<雨の日は美術館巡り>
4月22日
本日の予定
- ベラルド現代近代美術館
- 国立馬車博物館
いつもお世話になっております。
リスボン2日目です。
今日は天気が悪いので美術館巡りをします。
リスボンに来てはじめて知ったけど、ここには美術館や博物館が充実している。
グルベンキアン美術館、シアード美術館、国立古美術館だけでなく、貨幣博物館、海洋博物館、電気博物館、リスボン路面電車博物館などユニークな博物館もめちゃくちゃ多い。
もっと調べてくればよかったと後悔する。
ところでヨーロッパに来て以来ほとんど晴れていたのにリスボンでは雨続きだ。
悲しみの雨にうたれながらベラルド現代近代美術館に向かう。
美術館に近づくにつれてアーティスティックな雰囲気が漂ってきた。
アライグマだろうか。
よく見ると金網や鉄くずのようなもので制作されている。
なんとなく芸術に対するアグレッシ部な気持ちが伝わってきて、美術館への期待が膨らむ。
ベラルド現代近代美術館に到着。
ようこそ!
ベラルド現代近代美術館へ!
邪魔するぜ。
美術館の中はかなり広くてニューヨークのMOMAっぽい感じだった。
これで無料とは信じられない。
光が照射されて岩が燃えているように見える。
それを見つめるドクロ。
これもなかなかアグレッシ部やな。
ダリの作品。
レディ・ガガが使ってそうな電話だ。
空港で一度このような惨事を見たことがある。
飛行機の遅延を知った時の僕のようだ。
中庭に出る。
これの大きいものをニューヨークのウォールストリートで見たことがある。
ポルトガルの作家なのかな?
石なのに紙っぽく見えるのが面白い。
ベラルド美術館は現代美術作品以外にもピカソやダリ、シャガール、マグリットなど巨匠の作品が展示されており、かなり充実した内容だった。
残念ながら僕は十分な予備知識がなかったのあまり価値が理解できなかったが、現代アートに関心がある方は来て損はないと思う。
(今は有料で入場料5ユーロ、土曜日は無料とのこと)
次に国立馬車博物館に向かう。
雲がどんよりしていて呪われてしまいそうだ。
国立馬車博物館に入る。
馬車っていろんな種類があるんだなあ。
奥はヒルズ族の駐車場になっていた。
これに轢かれたら天国に行けそうなぐらい豪華な装飾。
馬車がこれほど種類が豊富で個性的だと知らなかった。
リスボンのミュージアムはユニークで面白い。
ポルトガルは物価も安いしヨーロッパの穴場スポットやな。
明日はリスボン最終日だ。
再びケーブルカーに乗ってサン・ジョルジェ城に向かう。
リスボン<サンタジェスタからこんにちは>
4月21日
本日の予定
- サンタジェスタのリフト
- ビッカのケーブルカー
- ジェロニモス修道院
- 発見のモニュメント
- ベレンの塔
人生初の夜行列車に乗って朝の7:20にリスボンのオリエンテ駅に到着。
夜中にものすごい嵐が襲ったので怖くてあまり眠れなかった。
地下鉄に乗ってRossio駅に到着。
寝不足の頭には強烈なデザインだ。
しかもリスボンの石畳は他の国と違ってめちゃくちゃボコボコしていてた。
ボコボコというより、もうすでに何個か石が抜けていた。
しかも雨で濡れてたのでかなり滑りやすく、コケないように生まれたての子羊のような足取りで歩いた。
いまコケないようにと言ったが、実は一回コケた。
先に進む。
サンタジェスタのリフトに到着。
平日の朝にも関わらずすでに行列ができていた。
下から見る限りではそんなに高く感じられなかったが、実際に登るとスゴいんだろうなあ。
上昇します!
どうやらエレベーターを降りてさらに最上階があるらしい。
けっきょく階段で登るんかい!www
やっぱり最上階にあがると見晴らしがいいなあ。
オレンジの屋根がヨーロッパって感じで可愛い。
女子ウケ抜群やな。
次はビッケのケーブルカーに向かう。
途中、無印良品で爪切りを買った。
ポルトガルは物価が安いのに無印良品は高かった。
値札を見たら日本より高い値段に書き直されていた。
無印良品はヨーロッパでは高級良品だった。
リスボンは坂が多い。
ケーブルカーの線路が坂道に沿うように伸びている。
さっきから30分ぐらいビッケのケーブルカーを探し回っているがまったく見つからない。
完全に迷ってしまったようだ。
犬も迷っている。
諦めかけてふと路地を見ると、
見つかったけど、
どうリアクションしていいかわからなかった。
おじさんにお金を払って乗車する。
1分間ほど乗車してさっき歩いてきた坂を逆戻りした。
ガイドブックと全然違う景色におばちゃんも爆笑していた。
トラム(路面電車)に乗ってジェロニモス修道院に向かった。
ジェロニモス修道院は大航海時代、バスコ・ダ・ガマによるインド航路開拓によって得られた莫大な利益で建てられた。
香辛料の力は偉大だ。僕もカレーは大好きだ。
修道院に入る。
蜘蛛の巣のような特徴的な屋根だった。
回廊を通って中庭に出る。
うーん、どこから撮っても絵になるなあ…。
マヌエル様式の装飾も素晴らしい。
次は発見のモニュメントに向かう。
先頭にいるのが航海王子エンリケだ。
彼の後ろに当時の探検家、科学者、地理学者などが連なっている。
一番うしろの学者は絶対にエンリケが見えていない。
何の行列かわからずとりあえず並んでる人みたいだった。
モニュメントの手前の大理石の床は世界地図になっていて、ポルトガル人が発見した国の年が書かれていた。
日本も1541年に見つけられていた。
いろいろ回って少し疲れてきたが、勢いで最後の目的地ベレンの塔に突撃した。
風雲たけし城のようだ。
雲の感じが存在感を際立たせている。
入ってすぐのところに大砲コーナーが設置されていた。
たけし城挑戦者の行く手をはばむ。
長い階段を登って屋上に出る。
遠くに4月25日橋が見える。
この橋はサンフランシスコのベイブリッジを手がけたアメリカン・ブリッジ社が建設したらしい。
ヨーロッパの長い旅も中盤に差し掛かってきた。
大航海時代はじまりの地に立って遠い日本を懐かしんだ。
トレドの街<中世にタイムスリップ>
4月18日
本日の予定
- サントトメ教会
- トレド大聖堂
- コメルシオ通り
おはようございます!
今日はトレドを散歩してきます!
マドリッドから南へ約70キロ、タホ川に包まれるようにして人口8万あまりの中世の街「トレド」がある。
川に囲まれたこの土地は難攻不落の「天然の要塞」ゆえ多くの民族の奪い合いの舞台になり、強国に翻弄されてきた歴史がある。
そのためトレドはキリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒が長い間共存し、独自の文化が形成されてきた。
紀元前190年にローマ帝国がここに都市を築いてから連綿と現在まで伝統が続いている。「トレドを訪れずしてスペインを語るなかれ」と言われるゆえんである。
トレドに到着。
ドラクエや!
僕の好きなエル・グレコは16世紀にこの土地に移り住んだが、その時彼が描いた絵と今の風景がそれほど変わっていないことに驚く。
入城します!
街に入ると、敵の侵攻を妨害するために道が迷路のように入り組んでいる。
ところどころよく見かけるこの「丸い玉」は「ここに井戸水が湧いてますよ」という意味らしい。
かつては僕のようにさまよう旅人たちの貴重なセーブポイントになっていたのだ。
サントトメ教会に到着。
ここにはエル・グレコの最高傑作といわれる「オルガス伯爵の埋葬」が納められている。
教会内は撮影禁止だった。
縦幅約4.6メートル、横幅約3.6メートルの巨大なキャンパスいっぱいに広がる絢爛豪華な色彩。
この絵はトレドでしか見られないので、穴が開くぐらいじっくり鑑賞した。
エル・グレコの家の前を通ってトレド大聖堂に到着。
おじゃまします!
中に入ると予想外に天井が高くとても大きな空間だった。
想像以上の荘厳さに言葉を失う…。
そしてひときわきらびやかな主祭壇。
高さ30メートルの巨大な祭壇。
まぶしいぐらいに輝いていた。
巨大でありながら細部の作り込みも非常に細かい。
ここにもエル・グレコが展示されていた。
さすがに270年もの歳月をかけて完成された教会だけあって圧倒された。
これで僕も少しはスペインを語れるようになったかな。
帰りにコメルシオ通りの武器屋に立ち寄った。
いらっしゃいませ。
だいぶイカつい店員さんやなあ…。
2000年以上の歴史を誇るトレドの剣は有名でハンニバルも愛用していたという。
トレドには16世紀に天正遣欧少年使節が訪れたことがあり、日本刀も置いてあった。
お前もおったんかい!
朝からここまでごくろうさん。
トレドは中世の時代にタイムスリップしたような街だった。
キリスト教徒、ユダヤ教徒、イスラム教徒が共存し独自の文化を形成してきた歴史的事実は、混沌とした現代の世界にひとつのヒントを投げ掛けているような気がした。
明日は夜行列車に乗ってポルトガルのリスボンに向かう。
マドリッド
4月17日
本日の予定
- ソフィア王妃芸術センター
- プラド美術館
Renfeに乗ってバルセロナからマドリッドに向かう。
田園風景を眺めながら食事をするのは至福のひとときだ。
バルセロナの思い出を整理しながらマドリッドの期待に想いをはせる。
マドリッドのアトーチャ駅に到着。
アトーチャ駅の待合場所はなんと植物園のようになっていて、周辺にいろいろなお店がならんでいた。
おはようございます!
今日もええ天気やなあ。
プラド美術館に向かう。
マドリッドはエル・レティーロ公園やマドリッド王立植物園など大きな公園があり緑がとても多い。
その公園の近くにプラド美術館やソフィア王妃芸術センターがある。
プラド美術館に到着。
さっそくチケットを買って入館しようと思ったが、ここでまさかの落とし穴があった。
美術館の入り口は4つあるが、チケット売り場はゴヤの肖像の建つ入り口にしかないのだ。
僕は知らなかったので当然迷ったし、泣きそうになった。
なんでも慣れた頃が一番怖いですね。
プラド美術館は、エルミタージュ美術館、ルーブル美術館に並みのコレクション数と規模をほこり、建物自体もかなり大きい。
普通に鑑賞するだけでも優に2時間はかかる。
スペイン絵画だけでなく、イタリア絵画、フランドル絵画、ドイツ絵画、イギリス絵画、フランス絵画、オランダ絵画の名画が多数展示されている。
印象的だった作品たち。
エル・グレコは僕の好きな画家のひとりだ。
明日彼が住んでいた家があるというトレドの街に行く。
広大な敷地と厖大な作品に圧倒されて少し疲れたので公園で一休みし、ソフィア王妃芸術センターに向かった。
この日は日曜日だったので午後から無料で入場できた。
ここには世界的に有名なピカソの「ゲルニカ」が展示されている。
この建物はもともと病院を改装したものなので迷いやすく、しかも展示作品がテーマ別にまとめられているので、目的の作品を探すのに苦労した。
僕の好きなダリの作品がたくさん展示されていた。
彼はシュールレアリズムの印象が強いが、こういうアンニュイな作品もけっこう好きだ。
「男は背中で語る」というが、少女の背中もなかなか雄弁に語っている。
美術館には中庭があって彫刻などの作品が展示されていた。
中庭のベンチで少し休憩して美術館の目玉であるピカソの「ゲルニカ」を鑑賞した。
実物を目の前にすると想像以上に巨大な絵だった。
激しく爆撃されたゲルニカの町から悲鳴が聞こえてきそうなほど迫力があった。
見物客がたくさんいたが皆静かに絵の世界に入っていた。
絵の激しさと鑑賞者の静けさ。
激しさが静けさをより際立たせ、静けさが激しさをより際立たせていた。
矛盾するこの空間全体がひとつの作品のように感じられた。
今日は美術館巡りの一日だった。
明日は世界遺産である中世の雰囲気ただよう街トレドに向かう。