プラハ【美しさの秘訣】後編
5月12日
本日の予定
- 聖ヴィート大聖堂
- 聖イジー教会
- 黄金小路
- ストラホフ修道院
【前回の続き】
プラハの一休はカレル橋を無事に渡りきった。
ここから市街に入る。
とてもカラフルでメルヘンチックな街並みだ。
都市特有のほこりっぽくてゴミゴミした感じがなく、時間がゆっくりと流れていた。
プラハの地下鉄はかなり深いと聞いていたので、さっそく行ってみることにした。
深すぎる…。
プラハで一番深い駅はNamesti Miru駅でエスカレーターが全長100Mほどあり、降りるまでに2分半ほどかかるという。
レゴみたい!
こんなにオシャレな地下鉄は初めてだ。
「青い空」と「白い壁」がまるで地中海の街のようでとても爽やかだった。
疲れを吹き飛ばすような素晴らしい景色だ。
日が差してきたので、色彩がより一層映える。
石畳の長い坂道をひたすら登り、広場に出ると巨大な聖ヴィート大聖堂が現れた。
想像していた以上にかなり大きい。
近づけば近づくほど、その大きさに圧倒された。
教会に入る。
チェコを代表する芸術家ミュシャによるステンドグラスがとても印象的だった。
ステンドグラスは見る季節や時間帯によって色彩が微妙に変化し、いわば自然光が描く絵画のようだ。
光の波長が織りなす光のオーケストラをしばらくの間鑑賞した。
デジタル信号では表現できない自然の奥行きと柔らかさを感じた。
ステンドグラスだけでなく、彫刻も素晴らしい。
とても繊細に作られていて、まるで石で編まれたレースのようだった。
次に聖イジー教会に向かう。
聖イジー教会は920年に作られたプラハ最古の教会といわれる由緒ある教会だ。
聖ヴィトー大聖堂を見た後では少しこじんまりした印象を受けるが、かえってこれぐらいの方が落ち着く。
しかも僕一人しかいなかったのでゆっくり鑑賞することができた。
次に黄金小路に向かう。
皇帝ルドルフ2世がこの小路に金細工師を住まわせたことから、黄金小路と呼ばれるようになったといわれている。
金細工師が移り住む前は召使の集落だったため、とてもこじんまりした家が建ち並んでいる。
可愛らしい土産物店や住人の生活を再現した展示室が並んでいた。
ものすごい量のフィルムコレクションだ。
この住人はNetflixの存在を知ったら卒倒したに違いない。
N22と書かれているブルーの家はかつてカフカが小説を執筆していた家だ。
カフカは旧市街の喧騒から逃れてこの場所で創作活動に励んでいたといわれている。
そして実は僕が泊まっているホテルの隣の建物が、その彼の生家なのである。
僕はカフカが好きなので、特別な気持ちでこの小さなアトリエを見学した。
黄金小路を出て、プラハ城周辺を散策する。
プラハの街並みはどの角度から見ても絵になる。
プラハ城の主はこの街を見下ろして何を思っていたのだろうか。
次に「世界一美しい図書館」があるというストラホフ修道院に向かって歩き出した。
観光客用なのか、たまにこういう珍しい車が走っていて面白い。
この辺りはペトシーンの丘といわれる丘陵地なので坂が一段と厳しくなる。
あともうちょっとや!
プラハの一休に一休みなどない!
一休入魂だ!
気合を入れながら葡萄畑の丘を登りきり、ようやくストラホフ修道院にたどり着いた。
受付のおばちゃんから受け取ったチケットと写真許可シールを握りしめて入館する。
ここは「哲学の間」といわれる部屋だ。
哲学、天文学、数学、歴史などの本が並んでいる。
こんな部屋で本を読んだら最高やろうなあ…。
ここは「神学の間」だ。
ここには様々な言語で書かれた聖書が並んでいる。
「哲学の間」とは対照的に全体的に明るい雰囲気だ。
ただ残念なことに図書館は、ロープが張られていて中に入れなかった。
そのため図書館自体はあっという間に見終わってしまうのだが、廊下にはドードー鳥の剥製とか極太の鯨のヒゲといった珍品の数々が展示されていて、これがなかなか面白かった。
修道院を出て、近くのレストランでようやく休憩をとる。
ペトシーンの丘からの眺めが料理に彩りを添え、さらに空腹というスパイスが食欲を引き立たせて至福の時間を過ごすことができた。
腹ごしらえを終え、来た道を引き返して旧市街広場に向かった。
プラハは街全体が美術館のように美しく散歩していて楽しい。
旧市街広場に到着。
早朝とは打って変わって日中はとても賑やかだった。
リアルディズニーランドや!
この辺りにはたくさんの屋台が出店していて美味しそうな匂いが充満していた。
とりわけ豚肉を炭火で炙る香ばしい匂いに誘惑され、プラハハムを買ってみた。
テキ屋の兄ちゃんが看板に書いてある金額より高く請求してきたので、「全然値段ちゃうやんけ。」と文句を言うと、「あれは100gの値段やで。ケケケケケ…」と反論してきた。
要するに量り売りというやつだ。
「プラハのテキ屋にしてやられた」とちょっと立腹しながらプラハハムを食べるとビックリするぐらい美味しかった。
ハムと言っても大きな肉の塊なのだが噛むとものすごくジューシーで柔らかく、脂身までとろけそうに美味しいのだ。
死ぬまでにもう一回プラハハム食べたいなあ。
プラハという街は絵本の世界のように美しい街だった。
この美しさはメッキのように被せたものではなく、時代の荒波に揉まれ磨かれて内側から輝きを増してきたもののように思う。
あれからミハイルくんは就職できたのだろうか。
彼もまたこの街の宝石として輝き続けて欲しいと思った。
結局のところ、その街が美しいのは、美しい人がいるからだと思う。