ローマで考えたこと
4月6日
本日の予定
- ボルゲーゼ公園
- ローマ国立近代美術館
- 真実の口
- サンタ・マリア・イン・トラステヴェレ聖堂
早朝に小鳥のさえずりを聞きながらボルゲーゼ公園を散歩して、そのままローマ国立近代美術館をいてこましたろうという貴族的な発想に酔いしれて再び早起きをする。
そのうち無理がたたって身体を壊しそうな気がするが、とりあえず
行けるところまで行ってみよう。
おはようさん!
あ、バイトリーダーの平田さんおはようございます!
夜勤明けおつかれさまです!
一緒にタイムカード押しときますね!
ボルゲーゼ公園の朝は早い。
犬の散歩をしたり、ジョギングをしたりと各々が平和な朝を楽しんでいる。
やっぱり自然は癒されるなあ。
大道芸の練習だろうか、大柄なおじさんがロープを使って巨大なシャボン玉を飛ばしていた。
僕が中途半端な距離からじっと見つめていたためか、大柄なおじさんは練習をやめてどこかに去っていった。
正直に告白すると、僕は早く来すぎたために
やることがないのだ。
とりあえずローマ国立近代美術館に向かう。
昨日夕方にチラッと覗いた時はすごい行列だったが、今は女の人が一人で待っているだけだ。
僕も同じように開館時間まで待つことにした。
ようやく開館時間になり入場する。
中は意外に広く、現代アート作品がたくさん展示されていた。
最近教会を中心にまわっていたため、かえってとても新鮮だった。
でも、
寝不足の頭にはちょっとキツかった。
軽くめまいを感じながら美術館をあとにした。
さて次は「ローマの休日」で有名な真実の口だ。
サンタ・マリア・イン・コスメディン教会の中にあるらしい。
ボルゲーゼ公園から少し距離があるが歩いて向かう。
今日も暑くなりそうだ。
ヨーロッパの日差しは日本と違って刺すように強い。
教会はかなり辺鄙なところにあり、
びっくりするぐらい何もなかった。
歩いて来るんじゃなかったと後悔する。
教会に到着。
「ローマの休日」をイメージして中に入ると、
大量の中国人であふれ返っていた。
思った以上に、
ウッチャンナンチャンのナンチャンに似ていた。
今まで何億回も口に手を突っ込まれて耐え抜いてきた英雄の顔である。
教会の中に入る。
豪華な教会を見過ぎていたためか質素に見えた。
しかも中国人が多いせいかだんだんアジアにいる気分になってきたので、早々にひきあげた。
次はサンタ・マリア・イン・トラステヴェレ聖堂に向かった。
起源を西暦221年に遡る、ローマでも最古級の教会らしい。
テヴェレ川を眺めながら教会に向かう。
橋を渡るとようやくお店がある小さな街にたどり着いた。
ここでジュースを買って、少し休憩する。
それにしても日陰のない中を歩きつづけるのはキツかった…。
日本と違って自販機がほとんどないので、水分を確保しておかないと熱中症になりかねない。
さて、一息ついて教会に向かう。
おじゃまします!
天井のデザインがとてもユニークで素晴らしい。
幾何学的でとても力強い印象を受けた。
だいぶ歩いたけど、来てよかったなあ。
来た道をひき返して再びボルゲーゼ公園に向かう。
平和やなあ。
木陰に腰掛けて読書を楽しむ人。
寝そべって日向ぼっこをする人。
バイオリンの演奏に聴き入る人。
噴水のある池でボートを楽しむ人。
皆思い思いのスタイルでこの公園を楽しんでいた。
僕はベンチに座り、公園を行き交う人たちを眺めていた。
子どもからお年寄りまでいろんな人が通り過ぎる。
目の前でさまざまな人生の一場面が展開されている。
テレビなんかいらない。
ここを眺めているだけで、何が流行っているかを知ることができる。
歩き疲れた人は、小鳥が枝にとまって羽を休めるように、ベンチに腰掛ける。
そしてベンチに座っている知らない人と会話を交わし、ふたたび歩きだす。
こうした出会いの連続によって紙を重ね合わせるように少しずつ少しずつ人生がアップデートされていく。
公園は人々の人生が交錯する接点だ。
スニッカーズを食べながらそんなことを考えていた。
ちょっと散歩をしようと思い、ローマ市街を一望できるピンチョの丘に登った。
ここでいろいろあったなあ。
いろんな思いがこみ上げてきて感慨深く眺めていた。
明日はいよいよローマ滞在最終日だ。
過ぎ行く時間を惜しむように暮れなずむローマの街をいつまでも眺めていた。